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田本摂理氏、ClariMateを語る

 
2024年7月に発表されたクラリネット用デジタルミュート“ClariMate”(クラリメイト)。製品出荷に先駆けて、トライアルを希望されたクラリネット奏者田本摂理氏(大阪フィルハーモニー交響楽団奏者、大阪音楽大学講師)に、ご感想を伺いました。
 
 

試奏インタビュー

 
  “ClariMate”に興味を持ったきっかけを教えてください。
 
田本(敬称略) 日頃の練習場所には困っていないものの、外出先のホテル等では指を動かすだけの練習しか出来ず、アンブシュアのトレーニングはなかなか出来ないのが現状です。リードをかなり下げて(音が出ない状態に)セットし息を入れると、それなりの抵抗を得られて実際の演奏状態に近付ける事は出来るのですが、音が出ないので練習ができているのか確信が持てません。
 そのため、外出先や楽屋などでの練習が難しい状況で“ClariMate”が有効なツールではないかと考え、トライアルを希望しました。
 
  “ClariMate”をお試しになる前は、どのような点に期待や懸念をされていましたか。
 
田本 “ClariMate”によってヘッドフォンで音も出せるのであれば、緊急時の練習としては申し分ないだろうと思いました。一方、実際の演奏に近い息使いが出来なければ、かえって演奏に悪影響を及ぼすのではないかと懸念していました。
 
   “ClariMate”を使用するためには初期設定が必要です。接続を含めた設定はスムーズでしたか。
 
田本 私はAndroidスマートフォンに“ClariMate”を接続しました。最初は“ClariMate”が認識されすに困りましたが、デバイス側でBluetoothペア設定をする事を失念していたことに気づきました。そこでペア設定をしたところ、安定して接続することが出来ました。10Mほどデバイスから離れた時も認識されて接続は継続出来ていました。
 
 また、センサーの役割を果たすアクティブリードを自分のマウスピース(5RVライヤー)にセットし、トレーニングセット(*)を試そうとしたものの、始めはなかなか息が入らず困りました。音圧レベルなども変えてみましたが、この時点では関係ないことでした。よく見れば、息を入れるアクティブリードの先端とマウスピースの間にはほぼ開きが無いことに気づきました。これでは通常のアンブシュアでは絶対に息を入れるのは無理ですし、リコーダー演奏時のような圧力ゼロ状態にしても不可能です。
(*トレーニングセット:自分の楽器に合わせて“ClariMate”に運指を認識させるための設定モード)
 
 そこで、ユーザーガイドでも推奨されているように、アクティブリードをかなり下に下げて(2〜3mm程度)息の通り道を確保してみたところ、無事にトレーニングセットが実践出来ました。試しにリードを逆にかなり上げてセットしてみましたが、息の通り道はそれでも確保されるようで使うことができました。
 

“ClariMate”のトレーニングセット
 
 “ClariMate”に運指を認識させる作業中は、指を押さえて息を入れた後、表示される赤いランプが完全に消えるまで指を動かさない、という事も重要なポイントでした。
 
 さらに、製品に慣れていない為に別の要因で不具合が起きたのかもしれませんが、トレーニングセットをする時はあまり騒がしい環境だと反応が悪かったように思います。
 
  “ClariMate”を実際にデジタルミュートとして使用し、クラリネットを練習した時のご感想をお聞かせください。
 
田本 ヘッドフォンから音が出るという事によって、練習への取り組み意欲が湧きますし、懸念していた「息をしっかり入れられるか」という点においては、私の場合セッティングに工夫が必要でしたが(アクティブリードを下に下げたこと)、実際の演奏時に近い息使いをする事が出来ました。指と音の反応もかなり良くストレスはありません。ダブルタンギングにも反応してくれます。息の量に反応してダイナミクスの変化も付けられました。
 
 本番前に楽屋内で実際に使ってみましたが、他人の迷惑にならずに練習出来た事は大変有意義でした。ただし、あまり直前まで使ってしまうと、実際のリードに対応しにくくなってしまうので、注意が必要だと思います。
 
  全体的な感想と今後のご希望について教えてください。
 
田本 この“ClariMate”にどこまで求めるのかは、人によって違うと思いますが、参考までにお伝えします。
 
 “ClariMate”をとおして、音が出ること、が練習する私達にいかに大切であったかを痛感しました。例えクラリネットの生の音ではなく電子音だとしても、実際の演奏時に近い息使いをする事が出来、満足のいく製品です。緊急時の練習ツールとして是非持っておきたい物と感じました。
 
 とは言え、“ClariMate”を使用して演奏する場合、音色、音程については機械に委ねられるため、“ClariMate”のみで楽器を練習する事は避けるべきです。金管楽器のミュートや弦楽器のサイレント楽器でも、音色は実際とは違ったとしても、音程は自分で作らなくてはなりません。また、ケーンのリードに似せるような感触もあったら良いと思いました。
 
  ありがとうございました。
 
 
 

【Q&A】トライアル中の田本摂理氏のご質問等に対して、開発者である〈ビュッフェ・クランポン〉のミカエル・ジュスランが回答しました。

 
  口での音程調整
 
質問 息の入れ方やアンブシュアによって音程を調整できますか。
 
回答 エボナイト製のマウスピースを使用している場合、アクティブリードの設定を調整することにより、アンブシュアの噛み具合、アンブシュアによる音程コントロールは可能です。もしリードの調整(calibration)がされていれば、アンブシュアの噛み具合によって音程を変えることができます。
なお、息の強弱は音の倍音数には影響しますが、音程には影響しません。
 
  替え指の設定
 
質問 “ClariMate”はある程度の替え指に対応していますが、より多くの替え指に対応して欲しいです。例えば最高音の Sol は表示の運指しか反応しません。トレーニングセットの中で、自分で登録するようなシステムでも良いので対応して欲しいです。
 
回答 “ClariMate”は特にC6までのほとんどの替え指を認識します。もし他の運指を使用したい場合は、“ClariMate”が提案する運指の代わりに、希望する運指を設定することが可能です。“ClariMate”はこれからも進化しますので、ご要望が多い替え指については今後検討する可能性があります。
 
   Aクラリネットの設定
 
質問 特別な設定をせずにA管を使ってトレーニングセットもしてみましたが、トレーニング自体は可能でした(指示される運指の通りに進められる)。但し、そのまま楽器の練習に移ると、出てくる音、表示される音符共に in B で、A管の運指とはリンクしませんでした(最低音Miは音が出ませんでした)。
 
回答  Aクラリネットで“ClariMate”を使用するためには、トレーニングセットでAクラリネット用の設定を行う必要があります。Aクラリネットでトレーニングを行えば、最低音Miも出すことができます。
 
   マウスピースへのダメージ
 
質問 アクティブリードを差し込むことにより、マウスピース内部への傷などは付かないのか不安です。
 
回答 アクティブリードにはエボナイトよりも柔らかいABS樹脂を採用し、マウスピースの内側と接触する可能性のある形状の角は丸く作ることにより、マウスピース内部の傷のリスクに配慮した設計になっています。但し、ご使用のマウスピースの素材等によっては100%傷がつかないと保証できるものではありませんので、懸念を感じる場合は練習用のマウスピースを使用することをおすすめします。
 
  保証
 
質問 本体の故障時、また予想されるアクティブリードの破損や買い足しなど、アフターケアについては、詳しくお聞きしたいです。
 
回答 製品に問題があり本体が故障した場合は、1年間の保証期間中は無償で交換します(*)。保証については製品に同梱されている保証書に詳しく記載されています。
 また、アクティブリード等のパーツは、将来的に別売りで販売予定です。保証については製品に同梱されている保証書に詳しく記載されています。
(*)外的要因、物理的影響、製品の誤ったご使用等や、ビュッフェ・クランポン〉以外による修理、改造等による損傷については保証の対象外となります。
 
 

バナーをクリックすると別タブで“ClariMate”の特設サイトを開きます
 

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